CS0246

酒と旅行と音楽と、そのほかサッカー、映画に、あれやこれや♪(´ε` )好きなものをひたすら語ります。

ブラームス:大学祝典序曲(1880年)

数多くの名曲を遺してくれたブラームスですが、実は演奏会用序曲はこの大学祝典序曲と「悲劇的序曲」の2曲しか作りませんでした。
1879年に、ブレスラウの大学から名誉博士号を受けるとき、大学から依頼されて作ったのがこの曲で、有名なドイツの学生歌4曲の変奏をベースにして書かれています。

さて、曲は冒頭、遠くから聞こえてくる学生たちの行進のように、颯爽と始まります。
その後、聖堂で奏でられるパイプオルガンの調べ(あるいは学生たちの賛美歌か)を経て、やがて始まる何かを暗示するかのような、静かなティンパニの鳴動。
つづいて奏される金管楽器による荘厳なコラールが、最初の学生歌「われらは立派な校舎を建てた」です。

その後、チェロの軽快なピチカートとともに「国の親」が、さらにテンポ感あふれるファゴットの「新入生の歌」が奏でられ、最後に登場するのが、大合奏による「ガウデアームス」です。

当時47歳になっていたブラームスには、学位授与式で出会った学生たちの若々しさが眩しかったのかも知れません。
この曲の中に描かれる学生生活は、明るく、希望に満ちあふれています。ぜひ、双児の関係にある『悲劇的序曲』と聞きくらべてみてください。
そこにこめられた明るさとメランコリーの鮮やかな対比が面白い程はっきりと聞きとれることでしょう。
ブラームスは後にこの曲を「笑いの序曲」と呼んだりもしています。

貧しい家庭に生まれ育ち、ロマン派という時代に生きながら、ベートーヴェンの偉業に胸うたれ、古典派最後の巨匠と言われるまでになったブラームス
彼は晩年、この演奏会を象徴するかのようなこんな言葉を遺しています。

「歳をとるごとに、私の天空にはモーツァルトメンデルスゾーンという2つの星が、高々と昇ってくる」