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酒と旅行と音楽と、そのほかサッカー、映画に、あれやこれや♪(´ε` )好きなものをひたすら語ります。

Day25 "the Final" - FIFA WorldCup 2014 Brazil

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。
野球の野村克也監督の言葉です。
すべてのことに応用が利いて短いけれど物事の本質をとらえている、僕の大好きな言葉です。

どちらが勝っても新たな因縁が生まれる試合でした。
ドイツは過去3大会連続でベスト4に駒を進めながら、すべて優勝国に敗れています。日韓大会('02)では決勝でブラジルに、ドイツ大会('06)では準決勝でイタリアに、南アフリカ大会('10)では準決勝でスペインに。この決勝で敗れれば、4大会連続、ということになったわけです。
一方のアルゼンチンは、過去2大会連続でベスト8にてドイツに敗れて敗退しています。決勝で敗れれば3大会連続です。

ふたを開けてみれば、4大会目にしてついにドイツがワールドカップを掲げ、アルゼンチンは3大会連続でドイツに敗れる、という結果になりました。
けれど、ドイツがアルゼンチンを鴨にした、という試合では、決してありませんでした。
濃密な、とてもよい試合だった。

試合はドイツがボールを保持しながら、たまにアルゼンチンが逆襲し決定機を作る、という展開でした。
ポゼッションはドイツが勝っていながら、決定機はアルゼンチンの方が多かったように思います。
僕も、アルゼンチンの守備の堅さに驚きました。明らかに、大会の中で成長しています。
そこには、イラン戦、カメルーン戦で敵のカウンターに四苦八苦していた守備陣の姿はありませんでした。オランダ戦に引き続き、ほとんど相手に決定的なチャンスを作らせなかった。

この展開は、120分間、貫き通されました。
どちらも守りに徹した退屈なスコアレス、ではなく、どちらもじりじりとチャンスをうかがう、まるで肉食獣の狩りを見ているような緊張感あふれた120分でした。

それでも、敗れた。
「不思議の負けなし」の言葉に従うならば、アルゼンチンには決定的な敗因があったはずです。
それは何だったでしょうか。

僕が思うに、20min、30minにあった決定的なチャンスを決めきれなかったことが直接的な敗因になりました。

20min、ドイツMFトニ・クロースがDFラインとGKの間に不用意なヘディングパスを送ります。試合をライブ中継しているFIFAのブログにすら「poor header」と書かれたそのヘディングが送られた先には、イグアインがぽつんと残っていました。
本来ならオフサイド・ポジションなので、完全に、フリー。前にはGKノイアーしかいません。
しかし、これをイグアインが外します。枠外に。
まるでGKノイアーに気圧されたとしか思えないお粗末なシュートでした。これを決めていれば当然展開は全然違ったものになっていたでしょう。

30minにも決定的なチャンスはありました。メッシが右サイドをフリーで走っていたラベッシにボールを託し、そこから上がったクロスにイグアインがあわせてゴールネットを揺らす。
しかしこれはオフサイド判定でノーゴール。確かにリプレイを見ると完全にオフサイドでした。

その他にも、パスの受け手がもう一歩がんばっていれば、というシーンを数限りなくメッシは演出していましたが、結局決めるべきときに決めなかったことが仇となり、ドイツの一発の前に沈みました。

ただ、これらはあくまで展開の中での敗因にすぎない、とも思います。
本当の敗因は、別にあります。
それは、「メッシの孤立」。

チームとして孤立している、ということではありません。
試合の中で、常に3人、4人のディフェンスを引き連れているメッシは良くも悪くもアルゼンチンのパスコースの中では孤立しています。
ディフェンスを引き連れてスペースを作ってくれている、という見方もできる一方で、メッシ・システムのアルゼンチンはメッシを経由してからでないと攻撃が始められません。
もう一人、ピッチ上で起点になることができる選手がいれば、話は変わったと思います。

事実、その役割を果たす選手がいました。
ディ・マリアです。
メッシがマークを引き連れている中、できたスペースをディ・マリアが自由に使う。ディ・マリアにマークがつけば、メッシが自由になれる。
ディ・マリアがいることで、攻撃のパターンが一気に広がっていました。

その、ディ・マリアが準々決勝のベルギー戦33分に負傷退場します。
この後、アルゼンチンはベルギー戦の残り60分、オランダ戦の120分、ドイツ戦の120分、合計300分間、1点も取っていません。
ディ・マリア不在によるメッシの孤立こそが、今日の「決めるべきときに決められなかったアルゼンチン」を作り出した根源ではないかと思います。

次は第21回となるロシア大会('18)。
今度こそドイツにリベンジを果たし、アルゼンチンが優勝してくれることを心から期待しています。
そこにメッシと、新たなストライカーがいることを、願ってやみません。

http://www.fifa.com/worldcup/matches/round=255959/match=300186501/index.html#nosticky

実は夫婦で休みを取って、朝からワールドカップ公式ワインを飲みながら見ていました。
世間で働いてた皆さん、ごめんなさい(笑)