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シベリウス:フィンランディア

シベリウスの作品において、おそらく最も知名度の高い曲であろう。
この曲で、フィンランドに於けるシベリウスの人気は確立されたと言っても過言ではあるまい。
初演はちょうど100年前。

当時スウェーデン自治領であったフィンランド大公国を、ロシアが侵略した。
しばらくは自治が認められていたものの、ロシア皇帝ニコライ1、2世の時代になり自治権を剥奪され、フィンランドは冬の時代を迎える。
しかし、圧制を敷かれると起こるのが愛国運動であり、解放運動である。
この曲は、愛国運動の一環として作られた歴史劇「歴史的情景」の附随音楽の一部だったものを、交響詩として独立させたものなのである。

曲の冒頭、まずは金管合奏から重たく始まり、木管合奏、弦合奏と続く。
このモティーフは「苦難のモティーフ」と呼ばれ、フィンランド人の苦悩を描いていると言われる。
いかに重たく、苦し気に演奏できるかが、聞かせ所となるだろう。
2度目の金管合奏(短く鋭いフレーズ)は、民衆に闘争を呼び掛け、愛国心をかきたてる。
冒頭の苦難のテーマとからみ合いながら、曲はそのダイナミクスとスピードを徐々に高めていく。
唐突に現れる5拍子は勝利への戦いの開始を示す。
しばらくは、希望に満ちた戦争である。
勝利への戦いは、軍楽喇叭とシンバルによっていやが上にも解放感を盛り上げる。
そして勝利。

やがて曲はがらりと雰囲気をかえる。
まずは木管楽器による讃美歌風(実際讃美歌にもなっているが)のテーマ。
これはフィンランドの勝利を示し、弦合奏に譲られ、合わせて2度、浪々と歌い上げられる。
実は、この部分は後に歌詞がつけられ、フィンランディア賛歌と呼ばれるフィンランド第2の国家になる。
CDも出ているので、探してみられるのも一興のように思う。

なお、途中メロディーの裏で美しく合の手を入れるホルンが、実はこの曲一番の聞かせ所なんじゃないかと思うのは、筆者だけだろうか。
少し耳を澄ませていていただきたいものである。
そして、『これは』思われたなら、曲の終了後、ホルンに盛大な拍手を与えてやっていただければ幸いと思う。

さて、前半登場した闘争のテーマが再現されて、曲はフィナーレに入る。
この怒涛のようなフィナーレは、まさしく勝利を飾るに相応しい音楽だと思うのである。

フィンランドが独立を果たすのは、この曲が初演されてのち、17年を経た1917年のことである。