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酒と旅行と音楽と、そのほかサッカー、映画に、あれやこれや♪(´ε` )好きなものをひたすら語ります。

ある曲にまつわる場外編 〜アイーダ

サッカーで、世界の強豪国というと南米ではブラジル、アルゼンチン、ヨーロッパではフランス、イタリアなどがパッとあがる。
他にも強い国は数あるが、特に抜きん出ているのはこの4国ではないだろうか。

と、のっけから音楽とは関係のない話題で申し訳ないが、このイタリア代表に少し注目してみたい。
イタリア代表のサポーターといえば、基本的にはイタリア人なわけだが、彼等には面白い習慣がある。
イタリア代表(彼等は愛を込めてアズーリと呼ぶ)の試合が終盤を迎えると、誰からともなく「アイーダ」の凱旋行進曲の合唱が始まるのである。

クラシックの楽曲には「ポスト第2の国歌」となっているものが多い。
イギリスの「威風堂々」であったり、フィンランドの「フィンランディア」、そしてイタリアではヴェルディの「ナブッコ」だ。
ちなみに、サッカーのイングランド代表(サッカーではイギリスは4つの地域で別々に代表を選出する)では、勝ち試合の終盤は国歌「God save the Queen」の大合唱である。
それが、イタリアでは国歌ではなく、「ナブッコ」でもなく「アイーダ」なのである。

そもそも「アイーダ」はイタリア人ジュゼッペ・ヴェルディが作曲したエジプトを舞台とする大スペクタクルオペラである。
アイーダ」をこえる規模のオペラというと、ワーグナー「リング」しかないのではないだろうか。
それくらい、規模の大きなオペラだ。

規模が大きいのには興行的な理由がある。
このオペラはスエズ運河の開通記念にエジプトのカイロに新設されたオペラハウスのこけら落としのために作曲された。
こけら落としであるからどーんとド派手に、という発想は洋の東西をとわず扱く一般的なものだ。
そのため、非常に大規模なオペラになったのである。

また、この頃既にヴェルディは筆を休めて農園経営を楽しんでいたそうだ。
最初はこの依頼を受ける気もなかったのだが、プロデューサーに口説き落とされたという話も残っている。

ジュゼッペ・ヴェルディの出身はパルマ地方である。
パルメザンチーズで有名な、あのパルマだ。
ナブッコ」や「アイーダ」を作曲したヴェルディの偉業をたたえ、ヴェルディ生誕100周年の年、このパルマ地方に一つのサッカーチームが設立される。
その名をヴェルディFCといった。
中田英寿選手が所属していた ACパルマの前身である。

このヴェルディFCが、選手の入場時に凱旋行進曲を使ったそうだ。
オペラといえば、当時のヨーロッパでは流行歌といってもいいだろう。
今で言う所のテレビドラマの主題歌のようなものだ。
現代でもエンターテイメント性の強いスポーツでは、演出に流行歌などを利用していることを考えれば、何の不思議もないことだ。
おそらくはこれが、凱旋行進曲での応援につながっていったものであろうと思われる。

ちなみに、日本にも東京ヴェルディ1969というサッカーチームがあるが、これは作曲家ヴェルディとは関係がない。