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シベリウス:交響曲 第5番

ジャン・シベリウス(本名ヨハン・ユリウス・シベリウス)はムーミンの国フィンランドに生まれる。
11月にはすでに雪に閉ざされている、北方の雰囲気は彼の交響曲にそのまま取り入れられている。
冬の早朝を思わせるはりつめた透明感は彼の愛国心の象徴と言えよう。

さて、彼はその愛国心から2つの楽曲を生んだ。
「愛国交響曲」たる第2交響曲と、交響詩フィンランディア」である。
どちらもロシア圧制からの独立を願って作られたフィンランド人の心の支えである。
このような愛国的、国民主義的楽曲を発表していくシベリウスフィンランド国民達は熱狂的な声援を送る。
その結果実現したのが、1915年の国家的祝賀行事である。
この第5交響曲は祝賀行事のために作られた。
ではいったい何の祝賀行事だったのかというと、実はシベリウスの50歳を祝う行事だったと言うから、彼の人気のほどがうかがえる。

第5交響曲は別名「田園交響曲」と呼ばれる。
フィンランドの風景を描いた作品としては他に「愛国交響曲」の第1楽章などがあるが、いずれも雄大なる曲装を持つ。

こんなエピソードが残っている。
この第5交響曲の作曲中、ある早朝16羽の白鳥が頭上を群れ飛ぶのを見て、その鳴き声を「トランペットのようだ」と書き残している。
1楽章後半(もしかするとフィナーレも)登場するトランペットによる調べは、ひょっとするとこの白鳥達をモチーフにしたのかも知れない。

シベリウスは全部で7つ(異論アリ)の交響曲を遺したが、そのいずれもが、拡大の一途をたどった楽器編成に落ち着きを取り戻させ、安心感と調和を目指した古来の作曲家たちにならった名曲ばかりなのである。
しかし、その透明感と希薄さゆえ、一聴して名曲とは気付き難く、世の知名度はまだまだ低い。
この優れた、無名作曲家を世に広く知らしめることこそ、アマチュア・オーケストラの使命であると思うのだ。

フィンランドが独立を果たすのは1917年のことである。